仙台育英が逆転で甲子園のリベンジを果たす、かごしま国体で山田世代が高校最後の公式戦を飾る

甲子園

仙台育英高校が、2023年の秋の国体「高校野球」で、11年ぶり2度目の優勝を果たしました。

降雨延期による影響で、準決勝2試合で優勝2校を決める大会となり、仙台育英と土浦日大が優勝となりました。

仙台育英は、前回2012年に国体優勝した時も、悪天候の影響で日程が変更され決勝戦を行っていませんでした。その時は、準決勝で県立岐阜商業を破り、大阪桐蔭と共に優勝校となりました。

実質上の決勝戦は、シーソーゲームで手に汗握る展開に

チーム
北海
育英

仙台育英高校は、準決勝で北海(北海道)に9対7で勝利しました。ベンチ入りしたメンバー18人、全員が出場しました。チーム一丸となって夏の甲子園の雪辱を果たした戦いでした。

仙台育英は、先発に高橋選手をマウンドへ送ります。2回、3回、4回と連続して、北海に得点を許し4点のリードを与えます。

しかし、4回に仙台育英の打線が爆発します。集中打で一挙5点得点し、逆転に成功します。ベンチも大盛り上がりとなります。

1点を追う8回、2番・山田選手が、センター越えのタイムリースリーベースヒットで同点に追いつきました。そして続く、3番・湯浅選手はがライト前にタイムリーヒットを放ち、逆転に成功しました。

9回、仙台育英は、2人の3年生ピッチャーのリレーで締めくくりました。

まず、右のピッチャー・木村選手がツーアウトを奪います。木村選手は、2023年の春の選抜、夏の甲子園ともにベンチ入りせず、これが初めての公式戦でした。

続いて、最後にマウンドに上がった3年生の田中投手は、北海をレフトフライに打ちとりました。

勝利の瞬間、仙台育英の選手たちはマウンドに駆け寄り、皆で喜びを爆発させました。

スポニチ

今回の国体で、2022年の夏に東北勢として初の甲子園大会優勝に貢献した3年生は、全ての公式戦を終えました。

侍ジャパンU18にも選出された、山田脩也選手はインタビューに次のように語っています。

「最後は笑顔で終わろうという中でしっかり勝ちきれた。全員で笑顔で終わることができて本当にうれしく思います。

日本一を目標にやってきて、神宮、選抜、夏は優勝ができず国体が集大成。日本一を獲れて全ての人に感謝したいです」

山田選手が、主将としてチームを引っ張る最後の戦いで、有終の美を飾れたのは、仙台育英ファンの心を大きく揺さぶりました。

須江監督の男泣き・インタビューでの言葉、監督のキャリアを知ると深い

須江監督は試合後のインタビューで次のように語りました。

「感動ですね。9回は(4番手で)木村(選手)が投げてて涙が止まらなかったです。全員出したいって思いながら、でも温情で出すんじゃなくて本当に戦力として出せた。場面場面で、期待に応えてくれた3年間が尊いですね。苦しいところで公式戦初出場でもいいピッチングができる、その3年間が尊いですね」

仙台育英は、2022年の夏の甲子園で、甲子園の優勝旗が「白河の関」を越えた、初めてのチームです。東北6県に、初の優勝旗をもたらした世代が、この国体で高校野球を引退をします。

須江監督の「3年間が尊い」という言葉に、試合だけでは計り知れない、高校野球に捧げた選手たちの3年間の重みを感じます。そこには須江監督の人生に重なるものがあるようです。

須江監督も、仙台育英の選手でした。中学まで埼玉県で野球をしていましたが、仙台の強豪校へ進みました。そこでみたものは、実力のある同年代の選手です。

須江監督は、高校入学後1年半で、選手生活に区切りをつけます。「学生コーチ」になる道を選んだのです。

高校野球では、背番号をもらってグランドに立てる選手の数は限られます。須江監督は、絶対にレギュラーにはなれない選手、つまり補欠の選手の中から推薦されて「学生コーチ」になりました。

須江監督の指導の根底には、この補欠という経験をベースにした、レギュラーの選手から負けたところから、自分の人生を切り拓くきっかけをつかみ、這い上がっていく、そんな気概があるように思われます。

国体終了後の須江監督が、補欠から背番号をつけ、マウンドに上がった木村選手へかけた言葉は、自身の人生に重ね合わせたようで、とても意味深いものだと思われます。

仙台育英の底力、本当に強かった

この国体で、仙台育英は2023年の夏の甲子園の雪辱を果たしたと言われますが、その象徴的な試合、慶應高校との1回戦は、11対0のコールド勝ちでした。

山田世代と呼ばれた3年生は、それぞれの進路をこれから歩んでいきます。山田選手はプロ野球志望とのことです。そのほかの選手は、どんな道を選んでいくのか?そして次の世代は、どんなプレーを見せてくれるのか、これからも目が離せませんね。

*アイキャッチ画像は日刊スポーツより

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